Q3.歯並びは遺伝ですか?
親の歯並びは、子供に遺伝することもあります。ただし、子供の歯並びが親に似るのは、歯並び以外の要素の遺伝も関連しています。
まず、受け口(下顎前突)は遺伝する確率が高い不正咬合です。
受け口の人は、上顎が小さいタイプと下顎が大きいタイプとその両方を伴うタイプがあり、ときには顎が曲がってしまうこともあります。
受け口は遺伝する確率が高いと言われていますが、その傾向が見られ始める時期は人により異なりますが、幼児期に受け口の兆候があり矯正をしても、成長期に再び下あごが成長して元に戻ってしまうケースもあるため、成長が終了するまで長期間の治療が必要となります。
八重歯やガタガタの歯並び(叢生)も遺伝することがあります。
八重歯やガタガタの歯並びには、顎の大きさが小さいタイプと歯の大きさが大きすぎるタイプとその両方を伴うタイプがあります。そのため顎と歯の大きさのアンバランスにより、歯がきれいにならばないケースが多いです。八重歯自体が遺伝するというよりも、顎が小さい、歯が大きすぎることが父親や母親から遺伝したため、結果として八重歯やガタガタの歯並びになってしまうことが多いです。
両親のどちらかが八重歯の場合には、お子さんの歯の大きさや顎の小ささなどに気を配って、心配なことがあれば早めに矯正歯科に相談した方が良いでしょう。
顎の大きさでいうと、出っ歯(上顎前突)も遺伝することがあります。
出っ歯には、上顎の前歯が出でいるタイプだけではなく、下顎が小さいことにより上顎よりも下顎が後ろに下がっている(後退)ことにより、出っ歯になっている場合があります。
遺伝で下顎が小さい場合は、成長を利用して下顎を前に大きくさせる治療が必要となりますので、心配なことがあれば早めに矯正歯科に相談した方が良いでしょう。
まれではありますが、すきっ歯(空隙歯列)も遺伝します。
両親のどちらかが、生まれつき永久歯の本数が少ないためにすきっ歯の場合、生まれつき永久歯の本数が少ないことが遺伝して、すきっ歯になることがあります。
また、生活習慣が遺伝することにより歯並びが悪くなることもあります。
ことわざで「子は親を映す鏡」とありますが、父親や母親の悪癖が子供にうつり、結果として歯並びが悪くなるということがあります。例えば、頬杖をつく習慣がある場合、常に片方の顎ばかり押されるため、顎の形が変形してしまい歯並びが悪くなってしまいます。
特に、母親は子供と過ごす時間が長いため、悪い習慣や癖が子供にうつらないように注意が必要です。
その他にも、横向きに寝る、爪を噛む、口を開けたまま物を食べるなどの悪い習慣や癖も歯並びが悪くなることがあります。
アレルギーの遺伝で歯並びが悪くなることもあります。
子供が慢性的なアレルギー性鼻炎になると、口呼吸が習慣になってしまい歯並びに悪影響を与えることがあります。
鼻呼吸の場合は、口を閉じている間は舌が上顎にくっついていて、上顎を広げる働きをしてくれます。ところが口呼吸の場合、舌が下を向いているため上顎が広げられません。そのため、上顎が小さ過ぎて、出っ歯やガタガタの歯並び、まれに受け口にもなってしまうことがあります。
父親か母親のどちらかのアレルギー体質が子供に遺伝することにより、子供が慢性的なアレルギー性鼻炎になっている場合は、まず耳鼻咽喉科に受診して早急に口呼吸から鼻呼吸に変えることをお勧めします。